名刀匠が仕上げた刀
北海道千歳市 F様（2006年8月ご注文）
本日付で永田氏の素晴らしい作品を受領いたしました。
永田 皐月氏も納得いく仕上がりとの由。
職人の作品を仕事の友にできることをうれしく思います。
朝陽字鑑精萃を観ても字体にそれほど差異は見られず、どの店でどの書体を使用しても同じような印鑑が仕上がってしまうように思いました。
そこで、私は今回認印を新しく起こすに当たり、毎日少なくとも10回の捺印に今後20年間耐えることに加え、
印影を一瞥して
「私の姓であることがわかる」
「ファクトリーメイドではないことがわかる」
「思わず見入ってしまう」
作品を起こして下さる職人を探して参りました。
印稿を最初に見たとき、字体に少々面食らったので、私の職域には似合わないかとも感じましたが、印稿を実物大に縮小して再確認したところ、上下のバランスが非常に良好で、ファクトリーメイドではやっつけになりがちな2文字目の処理が特に秀逸だったので、依頼を継続させていただきました。
私の職場は技術屋の集団です。
技術屋人生35年の中で、15年も経験を積めば、誰でも技術の95％は体得でき、それだけで職務をこなすことはできます。
しかし、残りの5％は、妥協を決して許さない姿勢と、仕事に対する情熱をもって日々精進しても、残り20年間で極めるのは困難である、は私の持論です。
印章の依頼先を探す中で、検討した店の評価は押しなべて「95％」かそれにも及ばないものでした。
ところが、本日受領した印章を拝見して、貴店の印鑑職人は「残り5％」を常に追求し、実現なさっている稀有の存在たることを確信しました。
私どもの世界では、印鑑も武器。
あたかも名刀匠が仕上げた刀を得たかのような印象を受けました。
これで認印は生涯起こすことは必要なくなってしまったのが残念ですが、別カテゴリーの印章が入用の場合には貴店に依頼しますので、よろしく取り計らわれたくお願い申し上げます。