横並びだと文字が右→左に配置されるのはなぜですか
2018-01-15追加
印章(印鑑)は基本的には漢字やかなの「漢文・和文」で彫刻されます。
その漢文・和文の文字は元来
■上から下へ
■右列から左列へ
と配置されてきました。
③ ② ①
↓ ↓ ↓
例えば「新聞」「多くの雑誌・書籍」などがそれにあたります。
逆に、この文章表示のような「日本語における左から右への横書き」は、太平洋戦争敗戦後に西欧の記法に倣う形で一般化したものです。
それ以前、わが国では「上から下へ、右列から左列へ」の文字配置が圧倒的主流でした。
「漢文・和文」の文化の一端を担う印鑑においても同様で「上から下へ、右列から左列へ」という並びが常に正しい文字配置です。
そのうち、彫刻する文字をすべて縦1列に収めるタイプは「縦:全文字1列配置」と言い表すことができます。
(例:高橋)
①
↓
高
橋
それ対して、文字を各列1文字として、文字数に応じて2列以上に配置するタイプも「横書き」ではなく「1列に1文字だけを置く縦書き」となります。
それを言い換えると「縦:各列1文字配置」と表現できます。
その場合、右の列から左の列へと読み進めます。
(例:高橋)
② ①
↓ ↓
橋 高
これは新聞や・文庫本など書籍における和文本来の文字配置と同様で、文字はあくまでも「上から下へ、右列から左列へ」と配置しています。
しかしこの配置だと各列に1文字ずつしかないので、多くの場合「右から左への横書き」と誤解されます。
確かに便宜上「横配列・横書き」と称することもありますが、決して文字自体を「右から左」に書いているわけではないので「横書き」という呼称は正しくありません。
さらに例を挙げると「店商橋高」などと書かれて(彫られて)いる古い商店の看板を目にすることがあります。
この場合も、文字を右から左へと横方向に読んでいくのではく、
④ ③ ② ①
↓ ↓ ↓ ↓
店 商 橋 高
あくまでも「右の列から左の列」に沿って、各列1文字ずつを読むべきものです。
以上、細かい話でたいへん恐縮ですが、念のため。
もっとも、以上は文化的観点での約束事であって、上記のような文字配置でなければならないという決まりはありません。
実際、ごくまれにですが「欧文のように漢字を左→右に、上列→下列へと配置して欲しい」というご要望も頂戴いたします。
アルファベットのお名前ならいざ知らず、漢字やかなをそのように配置するのはお勧めできませんが、ご要望とあらば承ります。