美印工房店長のQ&Aブログ

■今までにない独創的な文字で
 実印を彫ってもらうことはできますか?

印鑑登録できる印鑑(=実印)については、
各地方自治体ごとに条例で定められております。


その中で登録申請が受理されない(=印鑑登録できない)例について、
次のように述べられています。

■横浜市の場合

◇第5条(1):住民基本台帳に記録されている氏名、氏、名で表していないもの

◇第5条(5):印影が不鮮明なもの、縁のないもの又は文字の判読が困難なもの

■港区の場合

◇第7条(1):住民基本台帳に記録されている氏名、氏、名で表していないもの

◇第7条(5):印影が不鮮明なもの又は文字の判読が困難なもの

このように、文言や表現には相違が見られるものの、いずれの地方地自体おいても、

「住民基本台帳通りの氏名または氏あるい名が彫られていない印鑑は登録できない」

「文字の判読が困難な印鑑は登録できない」

と、ハッキリ明文化されております。

しかし、印鑑に圧倒的多く用いられる「篆書」それ自体、
そもそもハンコ屋以外の一般的日本人にとって判読が困難なものです。

それは行政機関の印鑑登録窓口係員についても同様です。
日常的に印鑑を目にする機会が多いとはいえ、
彼らは決して文字に関する幅広い知識を持つプロではありません。

そこで、ハンコ小売店の団体である社団法人全日本印章業協会が
「印章篆書字林」という篆書の字典を制作刊行し、
そのポケット版を全国市区町村役場に配布しています。

印鑑登録窓口係員は、登録申請された印鑑を判読する際、
場合によっては同書を参照にして彫刻された文字の正否を確認します。
(そこで疑義が生じた場合、地方自治体によっては
「印章アドバイザー」を任ぜられた地元のハンコ店主に
当該印影を見せて意見を仰ぐこともあります)

つまり、前述の「印章篆書字林」に掲載されていない字形や、
掲載されているものと異なる字形が彫られた印鑑は、

■住民基本台帳に記録されている氏名を表わしていない(=誤字が彫られている)
■判読が困難である

という理由で印鑑登録が受理されない可能性があります。

当店が製作する印鑑はオリジナル書体とはいえ、
あくまでも「印章篆書字林」に掲載されている、出自の明らかな正しい篆書字形を基に、
その骨格を失うことなく、可能な範囲で下記のように独自色を加えたものです。

■流印体:文字全体を曲線化する
■密印体:文字線末端部を何重にも屈曲させる
■吉印体:文字線に太細の強弱をつけ、微妙なカーブをつける
■星印体:文字の横線を全体的に上向きに湾曲させる

たとえば原典たる篆書字形には存在しない線を加えたり、逆にあるべき線を省いたり、
交差させてはいけない線と線を交わらせたりといった一連の行為は、
「誤字の創造」に当たり、その結果、印鑑登録が受理されなくても文句は言えません。

印鑑登録制度につきましては以上のような制約がありますことをご了承下さい。
ただしこれは印鑑登録(=実印)に限ったことであり、銀行印・認印には該当しません。